甘いのにこれがノンシュガー?麹でつくる小豆煮「発酵小豆」

甘いのにこれがノンシュガー?麹でつくる小豆煮「発酵小豆」

皆さんこんにちは!
1月の日本の旬活としておすすめしている小豆煮。
今日は日本の国菌である「麹」を使用して砂糖を使わずに作り上げる発酵小豆をご紹介します。

作り方ですが、小豆を煮るまでの工程は前回の記事「基本の小豆煮HITOTEMA流」と同じ。
おさらいすると、浸水せずに洗っただけの小豆を鍋に入れ、約4倍の水を入れて60分弱火で炊くというものです。
豆が表面から顔を出さないように水分が蒸発したら水を足しましょうね。

さて、前回の小豆煮と違う点は、そこにほぐした米麹を加えること!

水煮の小豆を炊飯器に入れ、ガーゼや清潔なタオルをかけて6時間保温すると完成です。
本当にノンシュガーなの?と疑いたくなるような甘さです。

発酵あずき

【材料】
・小豆(乾燥で) 200g
・水  800㏄(小豆量の約4倍)
・米麹 200g(乾燥でも生でも)
・塩  1つまみ (小さじ1/6程度)

【道具の準備】
・炊飯器
・炊飯器のサイズより少し大きめのガーゼや手ぬぐい

【作り方】
小豆の煮方は前号の『基本の小豆煮HITOTEMA流の工程1・2』と同じです。

❶ 煮あがった小豆はそのまま粗熱を取り、炊飯器に移し替える。(完全に冷えてなくてOK!)

❷ 米麹を乾いた大きめのボウルで粒がばらばらになるように両手でほぐす。

❸ 炊飯器にほぐした麹を加え、小豆と良く混ぜる。炊飯器の容器に手ぬぐいやガーゼなどをかけて、不要な水蒸気が落ちるのを防ぎ、「保温」モードを押し、蓋を完全に締め切らずに2~3cm半開きの状態で6時間おく。(テープで止めたり、重めの鍋蓋を乗せておくと炊飯器蓋の半開き状態をキープすることが出来ます。

時間が経ったら炊飯器の蓋を開けて、甘い香りが漂い、一口食べてみて麹の粒が柔らかくなって美味しかったら出来上がり!塩を入れて仕上げる。もしも麹の芯が残っていたら更に10分~15分加熱する。(充分に柔らかくなるまで行うこと)

「発酵」という言葉がたくさん聞かれるようになったのは近年になってからのことですが、発酵の技術そのものは古くから日本で親しまれているものであり、醤油や味噌などの基本の調味料は発酵の力で出来ています。

昔からある「発酵」と「小豆煮」を掛け合わせて「砂糖不使用」「腸活」「健康」という現代のニーズを満たす食べ物を生み出されるのは興味深いです。
そして「現代の母の料理」を提供しているHITOTEMAにおいても、昔からあるものを大切にしながら現代のライフスタイルに合わせた食の提案が出来ることに喜びを感じます。

ただ、ここまでレシピを書いておいてなんなのですが、今は市販で「小豆煮」の既製品はどこでも見かけますよね。わざわざなぜ時間と労力をかける必要があるのでしょうか?

自分で煮るメリットはなんなのか、ここでお伝えしたいと思います。

まず1つめ:

市販の煮小豆は基本「渋抜き」と言って野菜でいう茹でこぼし&すすぎをするのですが、自宅で煮る場合には、渋抜きしない煮方を選択でき、すると、渋さが少し残る煮小豆ができるのです。
どういうことかというと、例として「チョコレート」を思い浮かべてください。

チョコレートというのも「豆」と「砂糖」で作られるものですが、甘いですよね。
でもカカオ豆というほろ苦さが甘さと出会って複雑で豊かな味わいになっているのでは!と感じませんか?

そんなふうに考えると、甘さだけを強調するよりも、ほろ苦さと甘さのコントラストによる「複雑さ」が美味しさを作り出すとも言えるかなと思うのです。
もしかしたら、甘さだけが強調されてしまったからこそ、「甘いだけの食べ物」と認識されてしまい、世の中で小豆離れが進んだのでは、などと想像してしまうのです。

そんなわけで、砂糖を使うものの、渋抜きと呼ばれる茹でこぼし&すすぎはしない、しかしながら「アクとり」は行うという作り方で試してみてください。
ただし!長く保存していた古い小豆の場合にはアクが強く残っている場合がありますので、渋抜きをしても◎です。

食べ物は乾燥していても生き物ですので、個体差やゆらぎがありますのでね!

メリットの2つめ:

砂糖を数回に分けて入れて仕上げていくので、極限まで甘さの低い小豆煮を食べることができます。お子様のいらっしゃる家庭では、ぜひ、お子様に食べさせてあげてほしいです。
砂糖を今回150g使用しますが、30g程度のみ入れた段階でまずは一口、いや二口、召し上がってみてください。私は息子にも、3歳くらいで甘味極少量の小豆煮を食べさせてみましたら、「おいしい!」と言い、そこから息子は小豆が大好きになりました。市販品では甘すぎて、母としてあげる気にはならなかったと思いますが、自家製なら、小豆を食べさせるつもりでほんのり甘いものを食べさせられるので安心です。
大人も小豆本来の豆のほっこりした素朴な味を楽しめて一石二鳥。大好きなものを増やしてあげることができること、好きを共有できること、それが2つ目のメリット。

メリットの3つめ:

3つ目は、1つ目に起因するのですが渋抜きをしないが故、小豆の「赤」の正体であるポリフェノールを中心とした栄養成分をしっかりと摂取することができるということです。
ポリフェノールは抗酸化作用が強く、活性酸素の働きを抑制する効果が期待できます。抗酸化によって体が酸化するのを防ぐと、お肌のアンチエイジングやストレス抑制、疲れにくい体づくり、生活習慣病リスクを下げる…等々、私達にとって嬉しい効果をたくさん受け取ることができます。

昔は各家庭で作られていたものが今では市販で簡単に手に入る時代になりました。
そんな中であえて自分で作ることを選択すると、食の選択肢が増え、既製品では味わえない自分だけの味を探って、見つけることが出来る。そして、その味が、自分の味ひいては家庭の味となり、お子さんが一人暮らしなどをされるときに「お母さんのあの味教えて」と連絡が来る瞬間は、きっと代えがたい宝物になるでしょう。

小豆の煮方から始まり、なんだかロングタームなお話に広がってしまったのですが、皆様今年の冬は、一緒に小豆を煮てみませんか。
日本で昔から愛されてきたお料理を自分で作ってみるということは、日本の繊細な食文化の継承、そして自分を含めた大切に想う人達への愛の継承だとも感じるのです。寒い冬にお鍋でことこと小豆煮を…。

体も心も温まる経験をぜひ。

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