夏こそ食養生!

夏こそ食養生!

料理家、谷尻直子さんのコラム&レシピ

谷尻直子 Tanijiri Naoko
東京都渋谷区で予約制レストラン「HITOTEMA」を主宰。ファッションのスタイリストを経て、料理家に転身。「現代版のおふくろ料理」をコンセプトに、ベジタリアンだった経験や、8人家族のなかで育った経験を生かし、お酒に合いつつもカラダが重くならないコース料理を提案している。

みなさん、こんにちは。
気温の高い日が続き、外に5分出ただけで汗びっしょり…。そんな毎日が始まりましたね。今回は、このコラムを始めた当初からの大きなテーマでもある「内側からの健康美」の大きな一つ、『腸活

腸活といえば?

「腸活」というと、すぐに思い浮かぶものといえば、次の3つではないでしょうか?

1. 発酵食品

2. 食物繊維


3. ベジファースト
(野菜から食べる)

実際、これらはどれも腸内環境を整えるうえで重要な習慣です。ですが、腸活に大切なのはそれだけではありません。

実はもっとある、腸活の要素:

4. 水分補給(常温の水や白湯)
腸のぜん動運動を促し、老廃物の排出をサポート。特に夏は脱水が腸内環境にも悪影響を与えます。

5. 良質な油(オメガ3系脂肪酸など)
アマニ油やえごま油などは腸の粘膜を守り、炎症を抑える働きも。

6. ストレスマネジメント(腸脳相関)
ストレスで腸が敏感になる方はとても多く、心のケアも腸活の一部です。深呼吸や十分な睡眠も大切に。

7. 適度な運動
ウォーキングやストレッチなど、軽い運動でも腸の動きが活発になります。

8. 発酵×プロバイオティクスの組み合わせ
発酵食品と一緒にオリゴ糖や水溶性食物繊維などの「菌のエサ」を摂ることで、より効果的な腸活になります。

発酵って、そもそも何?

腸活といえば、まず思い浮かべるのが「発酵食品」。味噌、醤油、味醂、酒…日本の食卓に欠かせないこれらも、すべて発酵によって作られています。ただし、それぞれ完成までに時間や、専用の道具が必要です。

一方で、もっと手軽に取り入れられる発酵食品もあります。私のおすすめは調味料部門では「塩麹(しおこうじ)」、メニュー部門では「納豆麹」です!

調味料部門「塩麹(しおこうじ)」
メニュー部門「納豆麹」

市販と手作りの違いって?

塩麹は一時期ブームにもなり、手作りされていた方も多いかもしれません。
最近では市販品も増えましたが、「買ったはいいけど、使い方が分からなくて1~2回で冷蔵庫に眠ってしまった」という声もよく耳にします。

市販の塩麹はその名のとおり、塩味が強く感じられるものが多いのが特徴です。それに対して、手作りの塩麹はまろやかな甘みとうま味のバランスが良く、まるで“うま味調味料入りの塩”のような存在になります。「コンソメ」や「中華だしの素」のように、ひとさじで味が決まる万能調味料として活躍してくれるのです。具体的な作り方は、次号でお届けしますね!

発酵=腸活ではない?

ここで誤解されやすい点をひとつ。
「発酵=腸活」と思われがちですが、発酵食品だからといってすべてが腸に届く菌を含んでいるわけではありません

発酵の価値は、実は3つに分類できます:

1. 食材の保存性を高める

2. 食材を美味しくする


3. 有益な菌が腸に届く
(プロバイオティクス的な効果)

この3つ目の「菌が腸に届く」かどうかは、製品や自分自身の作り方によって大きく異なります。

多くの市販品では、流通過程での破裂や変質を防ぐために加熱殺菌処理が施されており、この場合、菌は死んでいるため腸に届く効果は期待しにくくなります。ただ、冷蔵・冷凍・非加熱タイプや特殊な加工品では、酵素活性が残るものもあります。

また、たとえ菌が活性されていないとしても、フィトケミカル(植物由来の栄養成分)などの健康成分はしっかり摂れることも多いため、広い視点で捉えるのがおすすめです。

次回は、実際に「1時間で出来る塩麹の作り方」と、一品で完結するために発酵をもっと身近に活用できる「納豆麹」をご紹介します!夏にぴったりの整えごはん、ぜひ作って、内側からの美を楽しみながら目指しましょうね!

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