夏の暑さを楽しみ、秋に備える暮らしのヒント

夏の暑さを楽しみ、秋に備える暮らしのヒント

料理家、谷尻直子さんのコラム&レシピ

谷尻直子 Tanijiri Naoko
東京都渋谷区で予約制レストラン「HITOTEMA」を主宰。ファッションのスタイリストを経て、料理家に転身。「現代版のおふくろ料理」をコンセプトに、ベジタリアンだった経験や、8人家族のなかで育った経験を生かし、お酒に合いつつもカラダが重くならないコース料理を提案している。

一年でもっとも陽気が極まる8月。
日が長く、空が高く、夕方まで子どもたちの声が響くこの季節。いざ夏が訪れると、つい「暑い暑い」と文句を言ってしまいがちですが、実は冬だった頃、春だった頃には、「夏休みが待ち遠しい!」とこがれていたはずです。

思えば、人は「欲しかったもの」を手に入れたとたん、不平を口にするものなのですね。(このお話は、また次回に…)

さて、薬膳の世界では、夏は『心しん』の働きと関わりが深く、汗とともに気や津液(体内の潤い)を多く消耗する季節。冷たい飲み物や食べ物ばかりに偏ると、かえって「脾」=消化器官の働きを弱めてしまい、秋の始まりには疲れがどっと出てしまうこともあります。

そんな夏を健やかに過ごすためにおすすめしたいのが、「体に留まりやすい水分」を含む食材の活用と、食後に心まで満たされる工夫です。

夏野菜でいえば、セロリやゴーヤなどが代表格。
いずれも「清熱作用」と呼ばれる、体にこもった余分な熱を冷まし、余分な水分を巡らせる作用があります。さらに、レモンや梅干し、酢など軽やかな酸味を添えることで、汗によって奪われた「津液」の補給にも役立ちます。

たとえば、わが家では、セロリやゴーヤを薄切りにし、しっかりめに塩をまぶしてから軽く湯通しし、冷水で色止めをして、保存容器に入れて常備菜として活用しています。

それらを使ったメニューの一例がこちらです。

1:ゴーヤと卵豆腐のお味噌汁
2:梅肉と鰹節、少量の醤油とみりんで作る「ゴーヤ/セロリの梅かつお和え」
3:セロリ/ゴーヤとアボカド、茹でたささみを合わせた冷やし中華
4:皮を除いたたらこと和えたセロリ/ゴーヤのたらこ和え
5:もずくと絹ごし豆腐を合わせたセロリ/ゴーヤのもずく豆腐
6:ごま油とすりおろしニンニク、塩と白胡麻を合わせたセロリ/ゴーヤのナムル
7:スライスニンニクをオリーブオイルで炒め、カレー粉と塩を絡めたセロリ/ゴーヤのカレー和え

いずれも火をあまり使わず、ビタミンCやタンパク質をしっかりと取りながら、からだの内側から美しさを支えてくれる、夏の養生ごはんです。

次回は、果物の力を借りた涼やかなスイーツの知恵や、夏の夜を楽しむ香りと一杯の時間について、お届けします。

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