心と体に、ひと椀の滋養を。玄米の美味しいいただき方

心と体に、ひと椀の滋養を。玄米の美味しいいただき方

料理家、谷尻直子さんのコラム&レシピ #016

谷尻直子 Tanijiri Naoko
東京都渋谷区で予約制レストラン「HITOTEMA」を主宰。ファッションのスタイリストを経て、料理家に転身。「現代版のおふくろ料理」をコンセプトに、ベジタリアンだった経験や、8人家族のなかで育った経験を生かし、お酒に合いつつもカラダが重くならないコース料理を提案している。

田植えの季節に感謝しよう!玄米が苦手!という方におすすめの玄米の炊き方

みなさん、こんにちは!ポジティブなセルフケアを、「食」主体に提案しております、HITOTEMAの谷尻直子と奥山千晶です。

春が訪れ、まもなく日本人の昔ながらの主食「米」を育ててくださる農家さんによる「田植え」の季節がやってきます。農家さんが腰を曲げ、力強く田植えをしてくれるからこそ、私たちは「ごはん」を頂けるのですよね。とてもありがたいことです。

私はお墓参りを定期的に行うのですが、そんな、先祖に感謝をする時間と同様に、こうした行事を節目節目に意識することで、改めて「いま在ること」「在れること」に感謝できるのが、伝統のいいところだと思うのです。食の伝統行事でマインドフルネスできますね!

例えば、桜のお花見も、今ではみんなでわいわいとお酒を飲みながら桜を楽しむイベントのようになっていますが、もともとは神への感謝と豊穣祈願の行事だったそうです。桜の語源は「さ=田の神様」「くら=神の依り代」とされており、神様の宿る桜の木の下で神酒をいただくことで、神の恩恵を得るという信仰から生まれた行事なのだそうです。

毎年春に桜の花が咲くこと、また稲穂が実ること、そして日常の小さなことに感謝の気持ちを感じることができますね。

さて、今回は!そんな田植えの季節に伴い、玄米を取り上げます。玄米の魅力と、美味しく炊く方法をご紹介します。

玄米は、籾(もみ)を除いた部分を食べることができます。糠部分にはビタミンB1が豊富で、糖質代謝を助け、疲労回復にも効果的です。また、胚芽にはビタミンEが多く含まれ、抗酸化作用や血行促進、ホルモンバランスの改善に役立ちます。胚乳は白米の部分ですが、食物繊維と一緒に摂ると血糖値の上昇を緩やかにします。

玄米の糠の部分には食物繊維が豊富に含まれている為、白米よりも玄米の方が体にとって代謝の面からは、負担が少ないと言えます。また前述の通り玄米にはビタミンB1が含まれているので、糖質の代謝もサポートしてくれます。

マクロビオティックには「一物全体」という言葉があり、一つのものはそれ全体でバランスを保っているという意味です。こうしてお米の構造を栄養面から分解してみるとそれぞれが最善のバランスで一つになっているという意味がより理解しやすくなる気がします。

玄米が体に良いという理由から、現代の栄養学やマクロビオティックでも重視されています。体を壊した方が、西洋医学でにっちもさっちも行かなくなった時、食改善でまっさきに出てくる方法が玄米食であるイメージは、比較的多くの方が持っているものではないでしょうか?

つまり未病の自然療法の処方箋の基本の「キ」と言えそうです。

しかしながら玄米は「ボソボソして美味しくない」と感じる方も多いのが現実です。そこで!白米の持つ、「甘味」やみんなが大好きな「もちもち感」を加えるために、玄米にもち米を少し混ぜて炊く方法をおすすめします!

具体的には、玄米2合に対してもち米を1/4合加え、炊飯器であれば、「玄米」の水分量目盛りと同様の水分量で炊くこと。

それだけで、甘みを感じなかった玄米も、甘味がプラスされ、もち米ゆえんのもちもち感がプラスされ、非常に美味しく仕上がります。この方法で、玄米を「健康のため」だけではなく、お父さんやお子さんといった、玄米を遠ざけがちなファミリーメンバーも含めた「家族全員」で楽しみながら食べられるようになります。普通の炊飯器で、圧力鍋や土鍋がなくても美味しい玄米が炊けるので、ぜひ実践してみて下さい。

炊飯器がお家になく、お鍋で炊く場合の水分量は、米量の1.5倍です。圧力鍋の場合は1.3倍で炊いてみましょう!
そして、できれば、塩をひとつまみ加えて炊きましょう!

玄米にはカリウムが豊富に含まれており、体内のナトリウムとのバランスを取るために少量の塩(ナトリウム)を加えると、栄養の吸収がスムーズになると言われています。マクロビオティックでも、玄米を炊く際に塩を加えることが推奨されています。

塩には水の浸透圧を高める働きがあり、玄米の外皮(糠層)を柔らかくして、食感を良くする効果が期待できます。

さて、今日は日本が誇る米の文化の中でも、忘れ去られつつある田植え行事と、おいしさの側面から、もったいなくも破棄されている「糠」を含めた玄米の偉大さに触れてみました。できる範囲で食を使って身を整えて、無理することなく生活に取り入れられるようになると、美容と健康が向こうからやってくる、こっちのものですね!^^

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