冬の幸せスイーツ、「小豆煮」で味わう冬の甘味
みなさんこんにちは!
予約制コース仕立ての現代の母の料理がコンセプトのお店「HITOTEMA」主宰の谷尻直子と奥山千晶です。
前向きなセルフケア、食を中心とした連載コラムの1月号です。
冬は寒い!だからこその楽しみを。
「小豆を煮てみませんか?」小豆煮のススメ
毎日寒いですね~。夏の、「暑いですね~。」という誰をもつなぐ一声のように「寒いですね~」が会話のきっかけの季節が続いています。
真冬といえば!の食は沢山あります。
個人的にはゆり根やたらの白子、牡蠣フライ。
お餅やみかんなど、昔ならこたつで頂いていたものたちも楽しみではないでしょうか?
今日は一年中手に入るものの、冬に特に食べたくなる小豆煮を、黒糖など砂糖で煮ていくタイプと米麹で発酵させて砂糖を使用せずに甘くするタイプの2種でお届けしたいと思います。
ぜんざいの主役である「小豆」は、大豆や黒豆、ひよこ豆など、多種多様な豆がある中で、家庭でまず初めに取り入れやすいお豆としてご紹介したいものです。
なぜなら、他の豆類と違って浸水の必要がないからです!
研究によると表皮からの給水がある他の豆と違い、小豆は給水口からのみ給水される豆だそうで、そのため、逆に浸水を行なってしまうと、給水ムラができやすく、煮上がりもムラになりやすい性質だと言われています。
長年小豆を煮続けた経験から、浸水なしで煮るほうがずっと楽で、失敗がないですので、ぜひ信じて行ってください。よし、作ろう!と思った時にすぐ作り始められるのは、お料理のハードルをぐっと下げてくれますね。
さて、話を小豆の煮方に戻していきますが、小豆、水、砂糖、塩、その4つをまず用意しましょう。
全て乾物という、世にも素晴らしいスイーツである!
豆というのは国際的な視点から言うと比較的おかずになることが多いものですが、私たち日本人は、アジア諸国の一つとして、小豆という豆を昔からデザートにしてきました。
また小豆の「赤色」というのは、日本でも縁起のいい色で、お祝い事には赤が掲げられます。
昔の日本は、戦争がゆえに貧しかった時期が長かったのですが、そんな時でも、庶民の大切なお祝いには、縁起のよい「赤色」の小豆と当時高価であったお砂糖を奮発して、子どもの成長を願って、夢見て、親はことことと小豆を煮てふるまい、味わったのでしょう。
食でお祝い事を表現するというなんとも趣深い手法だと思いませんか。
昨今は、自宅で炊くという方が少ないかと思います。
でも実は、水で1時間煮て、砂糖と塩を入れるだけ、というシンプル工程で、極上の小豆煮にあずかれるので、一度ぜひトライしていただきたいです。
基本の小豆煮HITOTEMA流のレシピ
【材料:作りやすい分量】
*出来上がりは小豆量の約2.5~3倍
・小豆(乾燥で) 200g
・水 800㏄(小豆量の約4倍)
・きび砂糖(黒糖がおすすめ!) 150g
・塩 1つまみ (小さじ1/6程度)
【道具の準備】
・小豆を洗うボウルとざる
・小豆を煮る鍋
【作り方】
①小豆を洗ってざるにあげて鍋に入れ、小豆の3~4倍くらいの水を入れてすぐに火にかける。
最初は強火で沸騰させ、アクが出たら取り、ある程度取れたら弱火にして蓋を少しずらして煮る。
②45分程度で、小豆の煮え具合をみる。数粒スプーンに取って親指と薬指で潰し、すっとつぶれれば煮上がり。
全体をかきまわして豆を見て、もしも柔らかく煮えていない部分があったら更に10分~20分程度、柔らかくなるまで煮る。途中、水分が蒸発しすぎていたらきちんと小豆にかぶるように水(分量外)を足す。
③小豆がしっかり柔らかくなったら、砂糖を投入するタイミング。砂糖は3~5回(通常3回)に分けて少しずつ入れること。浸透圧によって、きゅっと実がしまってしまい、固い小豆になるのを防ぐ。
④砂糖を投入してから約7~10分で仕上げる。最後に入れた砂糖が溶けきって艶めきがでたら自然塩を加え、ひと混ぜして出来上がり!
⑤あんバタートーストなどにしたい場合にはしっかりめに飛ばし、ぜんざいなどにする場合は水分を飛ばしすぎずに水分を残して仕上げる。
*小分けにして冷凍保存も出来る。
小豆というのは、安価でありながら、1時間という時間をかけてあげることで、大人も子どもも喜ぶシンプルなスイーツに生まれ変わるという、素晴らしい自然の恵みだと思います。
冬の寒い日に、オーブン200度で7~8分焼いてふくらませたお餅と、炊き立ての小豆煮でぜんざいなんていかがですか?冬の思い出に一躍買ってくれること間違いなしです。
次号、お砂糖を使用する代わりに麹で発酵させることで甘く仕上げる「発酵小豆」をお届けしますのでどうぞお楽しみに…!