
田植えの季節に、心ほどける薬膳ちまきのすすめ
料理家、谷尻直子さんのコラム&レシピ

ごはん大好き!田植えの季節。ギルトフリーな黒米ちまきと玄米を日常に…の提案
みなさんこんにちは!ポジティブなセルフケアを、「食」主体に提案しております、HITOTEMA谷尻直子と奥山千晶です。
4月は、新学期や春の訪れを感じる時期であり、まもなく米農家の方々が「田植え」を始めるタイミングです。この時期、温かい陽気が感じられるものの、まだ気温が安定せず、外気温と着る服が合わないことで風邪をひいたり、「新学期」や「新年度」に合わせた節目を感じるものの、心がついていかずにストレスを感じたり、五月病のような症状が現れることがあります。
こうした症状は、ストレスや自律神経の乱れが原因とされています。春の気温や気圧、新しい環境に適応しようとする際に、体は無意識に緊張し、交感神経が優位に働くことで、倦怠感、不眠、頭痛などの身体的不調や、イライラ、不安といった精神的な不調が生じることがあります。
こうした症状に効果的とされているのが「規則的なリズム運動」です。例えば、赤ちゃんやペットの寝息のように一定のリズムで繰り返される音を聞いていると、心が落ち着くことを感じたことがあるかもしれません。このような規則的なリズムが副交感神経を優位にし、心身をリラックスさせると言われています。その他にも、ランニングやウォーキング、実は「深呼吸」もその一つです。
食事の場面でも、自律神経を整えるリズムを取り入れることが可能です。「食材を切る」という行為や、また、「噛む」という行為も「同じリズム」。さらに、噛むことで唾液が分泌され、その中にストレスが原因で体内に生じる活性酸素を除去する効果がある「酵素」も含まれています。
さぁ、ロジックを意識して、明日から「よく噛むこと」を実践することをおすすめします。
さて、今回は田植えの季節を迎えるにあたり、米を使ったレシピをご紹介したいと思います。ご紹介するのは、もち米で作る中華風「薬膳黒米ちまき」です。

お米はよく噛むことで甘みを感じる食材の一つです。特に女性は、ストレスを感じると甘いものやサクサクしたものを欲することが多いのではないでしょうか。小麦粉を使ったお菓子やパンも魅力的ですが、心を落ち着けたいときには、粒状のお米を使ったものを選ぶのも一つの方法です。噛むことで満腹感を感じやすく、今日ご紹介するちまきも、ほんのり甘くて具沢山なので、ギルトフリーなスナックとしてぴったりです。
では、早速、黒米ちまきのレシピをご紹介します。
実は、材料を計量し、材料を炒めて、蒸すだけです。
薬膳黒米ちまきのレシピ
蒸し器を使う作り方(竹の皮4枚分)
【材料】
• 竹の皮 4枚
• もち米 1カップ
• 古代米(黒米) 大さじ2(30g)
• 蓮の実(乾燥) 8個〜12個(1包2個入る)
• 長芋 75g(1.5cm角切り)
• 干椎茸 1個
• 純米酒 大さじ1
• 醤油 大さじ1
• 塩 小さじ1/4(*しっかり味なので、おかずがある場合:小さじ1/8にすると◎)
• 砂糖 小さじ1と1/2
• ごま油 大さじ1
• 竹の皮 4枚(ぶきっちょさんはそのまま、器用な方は半分にカットして使用する)
• うずらの茹で卵 4個〜6個(食べる人数に合わせて◎)
• 鶏もも肉(小口切り) 40~50g(有れば)
【準備】
a.水を入れた蒸し器を用意し、金属製の場合は蓋に布を巻く。
b.凧糸を約25cmで6本カットする。
c.竹の皮を置くためのバットを用意する。
【作り方】
❶黒米と干し椎茸を流水でさっと洗って180cc(米用計量カップ1)の水で約4時間〜ひと晩浸水する。
❷蓮の実は熱湯で5分程度茹でてザルにあげる。
❸戻した椎茸は石突を取って1cm程度の角切りにする。長芋は皮を剝いて1.5cm角、鶏もも肉も1.5㎝角に切る。
❹浸水後の黒米をザルに上げて、戻し汁は取っておき、水を足して200cc準備する。
❺竹の皮はさっと洗って熱湯またはぬるま湯に浸して柔らかくする。
❻フライパンに胡麻油を熱し、黒米ともち米をやさしく炒め、艶めいてくるまで加熱し(約3分)、有れば鶏肉、蓮の実、長芋を加える。
❼⑤のフライパンに④の戻し汁+水を加えて弱火で火を入れ、少ししたら(4〜5分)酒、醤油、砂糖、塩を入れて焦げないように混ぜながら水分が飛ぶまで中弱火で加熱する。(フライパン時間合計10〜15分)
❽水分がほぼ飛んだら一旦置いておく。

❾蒸し器を火にかけて湯気が上がるのを待っている間に、バットに竹皮と紐を用意して、4〜6等分にした⑦を包み、凧糸で縛る。


➓④をなるべく重ならないように並べて15〜18分中火で蒸して火を止め、蓋をしたままの蒸し器で10分蒸らす。

※「炊飯器調理」の場合は材料をカット&計量した後、全ての調味料と水分を加えて普通炊飯で炊き上げ、炊き上がりに胡麻油を回しかける。
※竹の皮が手に入らない場合は、笹の葉で代用することもできます。
また、黒米や蓮の実は、心を穏やかにする効果が期待できる食材として知られています。黒米は、ストレスによる活性酸素を抑制し、ビタミンB1やEを豊富に含んでおり、疲労回復や血行促進にも役立ちます。蓮の実は、特に自律神経の乱れを整え、胃腸を元気にする働きがあると薬膳では言われています。
最近ではストレスが原因で胃や腸が上手く動かなくなる方も増えているようです。中医学では臓器と感情がそれぞれに影響しあっているとされており、胃腸は心配や不安につながっています。不安定で落ち着かない気持ちが頭の中を占領していると胃腸が弱り、逆に胃腸が弱っていると感情をうまくコントロールできず、必要以上に考え込んでしまうことも。そのような症状は起こりやすい方は蓮の実を生活に取り入れてみてはいかがでしょう?
ぜひ、お試し下さい。
みなさんの心が、春の空の色のようにクリアでありますように。
次回は、コメ繋がり!美味しい玄米の炊き方についてお伝えしたいと思います。