ハンドケアに有効!といわれるアロエの秘密

ハンドケアに有効!といわれるアロエの秘密

アロエ

火傷した患部にアロエのゲル状の部分を塗ったことはありませんか?
なぜアロエが傷の治癒になるのでしょう?日常使いで、手肌が潤っていくといわれるアロエベラに惚れ込んだ研究者に、話を伺いました。

堀 道政
堀 道政(ほりみちまさ)
 
一丸ファルコス株式会社
開発部
マテリアルテクノロジー課 上席研究員
 
1991年の入社から30年以上、健康食品や化粧品の原料を研究・開発に携わる。自社の主力製品プラセンタに代わる植物由来原料を模索し、アロエベラの効果を確認。宮古島のアロエベラを原料とした化粧品原料を開発。

宮古島とラボを行き来する、アロエベラ愛に満ちた研究者

epoがウィンターシーズンに発売したスペシャルコフレの1つ、ハンドケア美容液が好評でしたが、この原材料がアロエベラでした。アロエベラはアロエの品種名で、観賞用より、食用や薬用で使われることが多い品種です。

「アロエベラのことなら、この人に聞け!」とばかりに、化粧品の原料メーカー、一丸ファルコスの研究者、堀 道政さんの元を訪ねました。

ファルコス
一丸ファルコスの工場やラボがあるのは、岐阜県本巣市

早速見せてくれたのは、宮古島から届いたばかりのアロエベラ。
家庭用のプランターで育つアロエとのサイズ感の違いにびっくり!

サイズ感の違いにびっくり!
生葉1枚が1メートルほどあります
手に持ってみると、この通り!生葉1枚が1メートルほどあります

アロエベラがなぜ、化粧品原料メーカーで活躍し、愛されているのか…ことの発端は1990年代にさかのぼります。

探せ!狂牛病、エイズに左右されない植物性原料

堀さんが勤める一丸ファルコスは、天然資源に含まれる有用成分の研究を行い、化粧品や健康食品の原料素材を研究・開発している会社です。今もですが1990年代も、お肌のハリや潤いを保つ成分を生成する線維芽細胞を活性化できる素材として、プラセンタが評価されていました。自社の主力商品もプラセンタ。ところが、時代が潮目を迎えます。
「狂牛病とエイズが世界的な問題となり、お肌につける化粧品の動物性原料が敬遠されるようになりました」

そこで命を受けたのが、堀さん。それは「プラセンタに匹敵する、美容・健康効果が期待できる化粧品原料を、植物由来で作り出せ!」というものでした。線維芽細胞の活性化レベルを評価基準にし、各地から集めた100を超える植物エキスを調査。強い活性効果を確認できたのが、宮古島のアロエベラと石垣島のクロレラでした。

「研究を重ね、1997年にアロエベラエキスとクロレラエキス、そして美白成分としてカッコンエキスを配合した製品『バイオアンテージ』が完成。プラセンタと同等の作用が確認されています」

この粘性、面白い!!アロエベラに魅せられる

バイオアンテージの研究の中で堀さんが「可能性を感じた!」と話すのが、アロエベラ特有の粘性。アロエヨーグルトなどでお馴染みの、緑の表皮をむいた中にある透明のゲルはプルプルで粘性を持っています。

透明のゲルはプルプル
お刺身にして食べられることもあるアロエベラ

この水分保持力のすごいこと!堀さんは研究に約3年の歳月をかけ、2001年にアロエベラ単体の製品「ビオセルアクト アロエベラ」の開発に成功しました。

アロエベラエキスとクロレラエキス
左がアロエベラエキスとクロレラエキス、カッコンエキスを配合した「バイオアンテージ」、右がアロエベラ原液の「ビオセルアクト アロエベラ」

それから早24年。
「入社以来、いくつかの素材開発に携わりましたが今現在、最も多くの量を販売できたのが、ビオセルアクト アロエベラです。製法にこだわっているため現地加工ではなく、新鮮なアロエベラの生葉を仕入れ、自社で加工を行っています」

「ビオセルアクト アロエベラ」の作り方

安全性の高い医薬部外品原料にするため、手間暇かけて製品化しています。

左から順に精製
左から1→4の順に精製していきます
 
1
アロエベラを潰してジュースに
 
2
透明のゲル(多糖体)を取り出します
 
3
一度乾燥させます
 
4
水に溶かして精製します

アロエが「医者いらず」といわれる理由

アロエベラが化粧品原料として素晴らしいのは、なんといっても高い保湿力。日本では昔から、火傷や切り傷に塗ると治りが早くなるといわれてきました。例えば中南米では、日焼け後のほてりを抑えるために活用されることもあるようです。高い水分保持力を持つ性質から、アロエベラの成分が皮膚上で多くの水分を保持することでお肌を潤してくれる。理にかなっていますよね。さらに線維芽細胞を元気にしてくれるため、肌のハリや弾力、潤いを保つコラーゲン等の保水成分の産生を導きます

生葉は宮古島から。農家との深い絆

「アロエベラの素晴らしさを広めたい。そう強く願うのは、生産者さんとの信頼関係によるところも大きいです」と熱く語る堀さん。高品質のアロエベラの確保を叶えるため、堀さんが交渉したのは、沖縄県宮古島の農家。珊瑚礁が隆起してできた宮古島の土壌はカルシウムが豊富。水も空気もキレイなので、アロエベラの生育に適しています。長さ約1メートル近くにもなる、肉厚な生葉は圧巻です。
「もう20年近く、同じ農家さんを通じて仕入れています。アロエベラを継続的に使わせていただくためには、採算がとれる農産物の一つとして成り立たせなければいけない。生葉50トンから採取できる、原料素材のアロエベラは25トンというところでしょうか。台風の影響を受けるなど、苦難を一緒に乗り越えてきた仲間にも、宮古島にも、わずかながらの利益を還元できれば。アロエベラの大いなる力や関わる人、土地への感謝を含め、素材への愛が深まります」

熱く語る堀さん

良いものは残る。時を経ても変わらないこと

30年以上、化粧品原料の開発に携わってきた堀さんが思うのは、「本当に良いもの、効果の高いものは廃れない」ということ。化粧品は特に、次々と流行の美容成分が出てきては、また次に移り変わりますが、アロエベラのような良質な素材は長く愛され続けます。
「ビオセルアクト アロエベラに絶対的な自信があるからこそ、使っていただいているお客さまの意見を取り入れながら、より良い製品開発に尽力してまいります!」

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