ぬくもりを仕込む、酒粕のある台所。

ぬくもりを仕込む、酒粕のある台所。

料理家、谷尻直子さんのコラム&レシピ

谷尻直子 Tanijiri Naoko
東京都渋谷区で予約制レストラン「HITOTEMA」を主宰。ファッションのスタイリストを経て、料理家に転身。「現代版のおふくろ料理」をコンセプトに、ベジタリアンだった経験や、8人家族のなかで育った経験を生かし、お酒に合いつつもカラダが重くならないコース料理を提案している。

酒粕とともに、身体と心の冬支度

冬になると、甘酒の中でも「酒粕を使った甘酒」を思い浮かべるのは、私だけでしょうか。子どもの頃、風邪の引き始めや、少し元気がない日には、母がすりおろし林檎を加えた甘酒や、酒粕で作る甘い飲み物を用意してくれました。身体を温めるというよりも、「大丈夫だよ」と言われているような、そんな記憶とともに残っています。

酒粕には、大きく分けて二つのタイプがあります。ひとつは、板状で少し硬さのある「板粕」。もうひとつは、ペースト状でなめらかな「練り粕」です。

もし選べる環境であれば、個人的には練り粕をおすすめします。非常に柔らかく、溶けやすく、料理にも混ざりやすいのが特徴です。一方、板粕しか手に入らない場合でも、湯でふやかしてから使えば、扱いにくさはほとんど感じません。

酒粕は、身体を温め、巡りをよくしてくれる食材。さらに、腸内環境を整える発酵食品でもあり、冬のセルフケアにとても相性が良い存在です。加熱して使うイメージが強いですが、実は「生で使う」ことで、また違った魅力が広がります。

定番は、酒粕と味噌の組み合わせ。味醂や砂糖を加えれば魚の粕漬けに、だしでのばせば粕汁に。茹でたブロッコリーを、酒粕味噌マヨネーズで和えるのもおすすめです。

さらに試していただきたいのが、刺身の粕和え。酒粕に塩麹を合わせた『ダブル発酵』に、生のイカやぶり、大葉や柚子などの香り野菜を刻んで加えると、驚くほど奥行きのある味わいになります。

意外性を楽しむなら、酒粕とドライフルーツの組み合わせも。ドライいちじくやレーズンを合わせるだけで、どこかラムレーズンのような、日本的なデザート感覚に。隠し味として奈良漬けのみじん切りを加えると、甘みと塩味のバランスがクセになる一品になります。

冬の台所は、少し遊び心を持って。
酒粕を通して、身体も心も、ゆっくりと整えていきましょう。

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