味覚の秋。家にある食材に『ひとてま』で。ピンチョスアペロで心を軽く。

味覚の秋。家にある食材に『ひとてま』で。ピンチョスアペロで心を軽く。

料理家、谷尻直子さんのコラム&レシピ

谷尻直子 Tanijiri Naoko
東京都渋谷区で予約制レストラン「HITOTEMA」を主宰。ファッションのスタイリストを経て、料理家に転身。「現代版のおふくろ料理」をコンセプトに、ベジタリアンだった経験や、8人家族のなかで育った経験を生かし、お酒に合いつつもカラダが重くならないコース料理を提案している。

秋は、食べることが楽しくなる季節です。

きのこや芋類、果物など、店先にはおいしいものが次々と並びます。そんな「味覚の秋」だからこそ、今回は定番の「THE おうちごはん」から趣向を変えて、家で気軽に楽しめるピンチョスをご紹介したいと思います。

ピンチョスというと、バルやレストランで食べるもの、何種類もの食材を用意しなければならないもの、と思われるかもしれません。けれど、私が今回使うのは、じゃがいも、たまご、マッシュルーム、サラダ菜、モッツァレラチーズなど、スーパーで一年を通して手に入りやすいものが中心です。

大切なのは、特別な材料を揃えることよりも「ひとてま」。

焼き色をつける。
少しだけ白味噌を塗る。
いつもの食材を小さく重ねる。
最後にハーブを添える。

それだけで、いつもの食材が少しよそゆきの表情になり、人と楽しみたい!と思うものになります。

そもそも「アペロ」は、フランス語のapéritifからきた言葉。夕食の前に、飲み物とちょっとしたものをつまみながら過ごす時間のことです。私はこの他愛のない会話を楽しむ時間そのものが、一つのセルフケアだと思っています。

ただ、何を作ってもてなせばいいんだろう。
複雑な料理はできないし、初めて作るものでは、味の調整や調理の失敗のリスクもあるし。そんな時、ここでご紹介するピンチョスなら、味付けはほとんど要らず、高い技術も必要なく、前半4品、後半4品の計8品を並べることができます。

楽しむなら、、、忙しい1週間の終わりがおすすめ。土曜の夕方、いきなり夕食を始めるのではなく、小さなお皿を並べて、グラスに好きな飲み物を注ぐ。ほんの30分でも、一日の速度を少し緩める時間をつくることができます。

例えば、とても簡単なのが

1)アンチョビ+バター

5mmほどに切ったバゲットに、切りたてのバターとアンチョビをのせるだけ。塩味とバターのコクがあるので、これだけでも立派な一皿になります。
バターはキンキンに冷やして角が出る様にすることと、暖かく溶けないように気をつけることがおいしくするひとてまです。溶けないバターを「かじる」行為がなにより、美味しいのです。

2)タコ+酢漬け唐辛子

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「タコ+酢漬け唐辛子」は、酢・砂糖・塩で漬けた唐辛子か、輸入食材やさんで手に入れた「唐辛子の酢漬け」を斜め切りにし、3mm幅に切ったタコと合わせ、バゲットに乗せます。酸味と辛味が加わることで、タコの甘味が際立ちます。

3)マッシュルーム+グリーンオリーブ+ししとう

「マッシュルーム+グリーンオリーブ+ししとう」は、マッシュルームの石づきをとり、石突があったところに白味噌を塗ります。オイルをしいたフライパンでししとうに焼き色をつけ、白味噌つきマッシュルームと、グリーンオリーブとを一緒にバゲットに乗せて串に刺せば完成です。あればローズマリーなどの香り系ハーブをちぎってふると、なお美味しい。

そして秋らしく楽しみたいのが

4)じゃが芋のガレット+クリームチーズ+ディル

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じゃが芋をごく細い千切りにして、決して水にさらさず、ボウルでひとつまみの塩を合わせます。少量の小麦粉(または片栗粉や米粉)を入れて菜箸で全体に馴染ませ、くっつきをよくしたら、植物油に少しバターを溶かしたフライパンでこんがりした焼き色がつくまでじっくり火をいれます。

表面がカリッとしたら、適度なサイズに切ります。スライスバゲットにクリームチーズと、ガレットを乗せ、最後にディルをちぎって乗せたら完成!。

いつものじゃが芋だけど、千切りガレットにすると、なんて美味しいんでしょうね。アペロ時間に似合う上品な一皿になります。

友人とのひと時に、4~8種のピンチョスが並ぶと、華やかになり、週末感を存分に味わうことができます。バゲットを1本買うと、30~40枚のスライスが取れるので、一本のバゲットでできるピンチョスは40個!

後半では、今回の4種のピンチョスに加え、さらに4種をご紹介したいと思います。自宅で作る、安心なピンチョス。ぜひ活用していただけたら嬉しいです。

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