春、透明感を仕込む『白』のクリーム
料理家、谷尻直子さんのコラム&レシピ

東京都渋谷区で予約制レストラン「HITOTEMA」を主宰。ファッションのスタイリストを経て、料理家に転身。「現代版のおふくろ料理」をコンセプトに、ベジタリアンだった経験や、8人家族のなかで育った経験を生かし、お酒に合いつつもカラダが重くならないコース料理を提案している。
去りゆく冬。
寒い季節は、味噌や根菜、煮込み料理が美味しく感じられました。そして、いま、迎え入れる春。春は『軽やかさ』をテーマに整えていきたい季節です。
24節気では啓蟄から春分へ。
冬の間に内側へ蓄えていたものが、外へ、上へと動き出します。東洋医学では春は「肝」の季節。巡りを司り、血流や感情、そして肌の状態とも密接に関わります。
この時期に増えやすい
・くすみ
・吹き出物
・目の疲れ
・なんとなくのイライラ
それは『巡りすぎ』によるゆらぎかもしれません。薬膳では、冬は黒い食材、そして春は緑の食材を積極的に摂りましょうといわれています。
そんな中で、暦では春、体感では冬と春のこの時期は、ニュートラルな『白』を選びたい。白食材として、美肌や健康に真っ先に思い浮かぶ食材は何ですか?そう、「お豆腐」です。
豆腐は、生でよし、炊いてよし、揚げてよし、の万能食材ですが、そんなお豆腐を、かなり削ぎ落とした一品としてご紹介したいです。
水切りした絹ごし豆腐に塩を加え、なめらかに撹拌するだけの「しお豆腐」です。
しお豆腐

水切り済み豆腐 50g
塩1gをフードプロセッサーや、すりこぎなどで滑らかにするだけ。
豆腐と塩のみ。
それ以上足さない潔さ。
余計なものを重ねない美しさは、スキンケアにも似ています。重ねすぎないことが、透明感につながります。
塩ゆでした菜の花やアスパラガス、スナップえんどうと合わせると、春野菜の甘みが驚くほど引き立ちます。時間が経つと、離水し易いので、お早めにお召し上がりください。

さらに美容視点を強めるなら、発酵と抗酸化をプラスしたレシピ、ギリシアやトルコで食べられる「ザジギソース」というなのヨーグルトペーストがあり、それをお豆腐で作る一品です。
にんにくのコクとレモンの清涼感、塩麹の旨みでスティック野菜が止まらないおいしさと、異国感。
豆腐で作るザジギソース
・絹どうふ 1/2丁(水切り後で約40g)
・すりおろしにんにく 小1(5g)
・みじん切り玉ねぎ 適量
・塩麹 3g(総量の約1.5%)
・レモン汁 10g
水切りした豆腐らかになるまでしっかりとすりつぶし、他の材料も加え混ぜるだけ。
レモンのビタミンCは抗酸化に、玉ねぎの硫化アリルは血流促進に、にんにくは免疫サポートに。そして塩麹という発酵の力が腸を整えます。
腸は美容の土台。
腸内環境が整うと、肌の艶は静かに変わります。
そして、盛り付けのひとてまは、平らな皿にクリームを広げ、中央に野菜をのせてみて。家庭の食卓がレストランのような設えになるのでおすすめです。
春は『足す美容』ではなく、『抜く美容』。
軽やかに、内側から透明感を仕込むセルフケアです。次号は同じお豆腐で、ギルトフリーのスイーツをご紹介します。