爽やかさを仕込む。初夏のレモン麹。

爽やかさを仕込む。初夏のレモン麹。

料理家、谷尻直子さんのコラム&レシピ

谷尻直子 Tanijiri Naoko
東京都渋谷区で予約制レストラン「HITOTEMA」を主宰。ファッションのスタイリストを経て、料理家に転身。「現代版のおふくろ料理」をコンセプトに、ベジタリアンだった経験や、8人家族のなかで育った経験を生かし、お酒に合いつつもカラダが重くならないコース料理を提案している

6月。
梅雨と言いながら初夏の日差しに警戒したり、じっとりとした低気圧に気持ちを持っていかれたり、心の中身も忙しい月。

この季節、私はウド、実山椒、レモン…など、爽やかな食材が食べたくなります。例えば、レモンは、「レモン麹」にするのがおすすめ。自分で作って、自分でびっくりするほど美味しいんです…。

塩麹を自家製されているおうちも多いかなと思いますが、もしも塩麹を作られた経験をお持ちなら、その要領に「レモンを刻む」という工程がプラスされるだけ。

初めて!
という方は、私の好きな、「炊飯器調理」の作り方を真似してみてください。

塩麹の作り方には大きく分けて2種あり、1つ目は、常温発酵。米麹と水、塩を混ぜて、5日~1週間ほど常温に置いて発酵させる、という作り方です。

もう一つの炊飯器調理は、米麹と50度前後の水を混ぜ、炊飯器に入れ、蓋がカチッとしっかり閉まらない、言わば「半開き」の状態を保ちながら、「保温モード」で1時間で発酵させるというやり方です。

私が後者の作り方が好きな理由は、毎日見守らずに済むこと。

1時間で発酵完了なので、「カビないかな?」などの小さな不安を持たなくて良いからです。そして、もう一つの理由は、温度が常温より高くなるため、アミラーゼと呼ばれるでんぷん分解酵素の力で甘みが出ること。

私の定番レシピですと、甘味がでた状態で、麹量の20%の塩を加えます。ですのでほんのり甘味+塩の『うまみ系塩麹』になります。

もちろん、常温発酵には常温発酵の良さがあり、炊飯器発酵には炊飯器発酵の良さがあります。どちらが正解、ということではなく、暮らしや性格に合わせて選べば良いのかなと思っています。

さて、話は本題に戻りますが、レモン麹、レモン麹!

今まで、「塩麹にレモンを絞ったり、混ぜたりしたら良いんじゃないか?」と思っていたのです、私も。

でもね、実際作ってみますと、レモンごと、麹と共に最初から発酵させた方が、ずっと奥深い味になるんです。例えるなら、こんな感じ。つい最近、出会ったばかりのカップルの初々しさ。

いっぽうで、しばらくお互いの良いところも悪いところも受け取り合いながら熟成した関係性。レモン麹は、その2番目の、なんとも言えない「層(奏)の厚み」を感じるのです。

さて、それでは、作り方です。

【材料】

・米麹 100g
・50℃程度のぬるま湯 80cc
・レモン(できれば無農薬) 100g
・塩(自然塩) 20g(※使用する麹の20%)

【作り方】

① レモンはよく洗い、布巾やペーパーで水気を拭き取り、フードプロセッサーか包丁で、皮ごと刻む。

② 面倒でなければ、スクイーザーでレモン汁を絞っておき、白い部分も含めて皮を刻む。(まな板に流れてしまう果汁も救えてちょっとエコ)

③ 麹をボウルまたは炊飯器の釜に入れ、清潔な手でよくほぐし、塊をなくす。

④ 麹に、②の可食部・皮・果汁を全て入れ、50℃程度のぬるま湯を注いでよく混ぜ、炊飯器本体にセットする。

⑤ 清潔な布巾を内蓋と炊飯器釜の間にはさみ、炊飯器の蓋が完全には閉まりきらないようにする。かといって、ぱっくり開きすぎないよう、重めの鍋蓋を乗せるか、テープなどで炊飯器の蓋とボディを軽く固定し、「半開き状態」を作る。(目安は1~5cm程度)

⑥「保温」を押して1時間待つ。時間が経過したら少量取ってテクスチャーを確認し、麹の芯がなくなり柔らかくなっていたら、塩を加えてよく混ぜ溶かす。1~2時間塩が馴染むまでおいた方が美味しい。

⑦ 粗熱が取れたら、これまた清潔な容器に入れて冷蔵庫へ。たくさんできた場合は、冷凍で約1ヶ月、冷蔵で約3週間を目安に保存可能。

【使い方】

白身魚のお刺身に少量、塩の代わりに。
刻んだ紫蘇や茗荷、洋風ならディルなどを乗せてレモン麹をかけたら、オシャレな味なのに、どこか懐かしく、ほっとする美味しさのカルパッチョに。

新玉ねぎを1cm幅に切り、レモン麹で和えたら、和・中・洋、どの食卓にもマッチする付け合わせに。さらにそこに粗挽き唐辛子や一味を少し混ぜると、インドカレー屋さんでよく出てくる「アチャール」風にもなります。

カレーを作る時に塩の代わりに入れたら、レモンカレー、レモンキーマに。(これが抜群に美味しい!)

きゅうり、セロリ、大根など、生で美味しい野菜とも好相性。
少し置いておくと、レモンの爽やかさ、塩気、米麹の旨み、でんぷん糖化によるほんのりした甘味を全てまとった、美味しい副菜になります。

焼いたチキンで=レモンチキン
いつもの生姜焼きに=レモン生姜焼き
オリーブオイルやすりおろし玉ねぎと合わせて=ドレッシングに

かなり汎用性が高いアイテムです。
ちなみに、レモン麹は、そのまま食べるものではないので、塩や醤油のように、そのままだとしょっぱい、と感じて良いものです。魚に肉に豆に、と兎に角使ってみてください。

湿気の多い季節は、身体だけでなく、気持ちまで『滞り』やすいもの。

爽やかな香りや酸味、発酵の力を上手に取り入れながら、内側から巡りを整えて、軽やかに6月を過ごしていきましょう。

レモン麹、ぜひ試してみてくださいね。

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※炊飯器や調理器具はメーカーや機種によって仕様が異なるため、長時間の保温や調理モードの使用は、各機種の取扱説明書をご確認のうえ、無理のない範囲でご利用ください。

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