バゲットを一本買ったなら。自宅で楽しむピンチョスアペロ 〜後編〜
料理家、谷尻直子さんのコラム&レシピ

東京都渋谷区で予約制レストラン「HITOTEMA」を主宰。ファッションのスタイリストを経て、料理家に転身。「現代版のおふくろ料理」をコンセプトに、ベジタリアンだった経験や、8人家族のなかで育った経験を生かし、お酒に合いつつもカラダが重くならないコース料理を提案している。
前回は、身近な食材にほんの「ひとてま」を加えて、家でのピンチョスアペロを楽しむアイデアをご紹介しました。今回はその後半です。ピンチョスの面白さは、小さいからこそ、一皿の中にさまざまな食材を組み合わせられることにもあります。例えば、「一口モッツァレラ+スナップえんどう+しらす」
一口モッツァレラ+スナップえんどう+しらす

スナップえんどうは1分ほど茹で、冷水に取って鮮やかな緑色を残します。薄く切ったバゲットにバター、モッツァレラ、スナップえんどう、しらすを重ねれば完成。乳製品としらすからたんぱく質やカルシウムを摂ることができ、緑の野菜も一緒に食べられます。
明太子+クリームチーズ+葱

「明太子+クリームチーズ+葱」は、明太子とクリームチーズを合わせたディップをバゲットに塗り、最後に葱をたっぷり。葱の香りと辛味が加わることで、濃厚なディップも軽やかにいただけます。薬膳では、葱は身体を温め、巡りを助ける食材のひとつと考えられています。これから少しずつ気温が下がる季節にも取り入れやすい食材です。
サラダ菜+コンビーフ+うずらの目玉焼き

「サラダ菜+コンビーフ+うずらの目玉焼き」は、葉野菜、肉、卵を一口で。うずらの卵は小さいけれど、それ自体にきちんと栄養が詰まった食材です。小さな目玉焼きにするだけで見た目がとっても可愛らしく、食卓に遊び心が生まれます。
10個一気に目玉焼きをつくると、圧巻ですよ。
そして、デザート代わりには「シャインマスカット+クリームチーズ+削りチョコレート」。
シャインマスカット+クリームチーズ+削りチョコレート

果物の瑞々しさ、チーズの酸味とコク、そこにほんの少しビターなチョコレート。バゲットにクリームチーズを塗り、半分に切ったシャインマスカットをぐっと押し込むようにのせ、仕上げにチョコレートを削るだけ。一口のデザートのような華やかさになります。
秋は乾燥が始まる季節でもあります。薬膳では、乾燥しやすい秋には、梨や葡萄などの瑞々しい果物を取り入れ、「潤い」を補うという考え方があります。
もちろん、食材一つですべてが変わるわけではありません。でも、「秋の果物を一つ加えてみよう」、「今日は心を喜ばせる食事で満足させよう」そんなふうに、自分の内側に意識を向けること。
それは、日々の生活でできる小さなセルフケアだと思います。
ピンチョスは小さなお料理です。完璧を目指さず、冷蔵庫にあるものを二つ、三つ組み合わせてみる。加熱をしなくても旨みのある食材を探してみる。難しい料理を増やさなくても、組み合わせる、重ねる、削る。そんな小さな「ひとてま」だけで、食卓の景色はぐっと変わります。
好きな飲み物を用意して、落書きをするように、工作をするように、自由に盛りつける。秋の日に、そんな小さなアペロ時間を楽しんでみてください。限りなく思い浮かぶピンチョスメニュー、また、ご紹介していきたいと思います。